Bizread|日本政策金融公庫 福岡支店 国民生活事業(北部九州地区)|インタビュー記事
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創業支援・起業教育、地方創生、熊本地震対応…、
機動力を活かした取り組みで地域への貢献を目指す
日本政策金融公庫 福岡支店 国民生活事業(北部九州地区)
国民生活事業 地区統括(九州北部担当)
鎌倉 浩二 氏
DATA
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前3-21-12
事業:政策金融機関
設立:2008年10月01日
H P:https://www.jfc.go.jp/
かつての国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫を統合して、2008年10月に発足した政策金融機関が日本政策金融公庫(日本公庫)だ。日本公庫は国の政策の下、民間金融機関の補完しながら、社会のニーズに対応した政策金融を機動的に実施することを使命とする。
日本公庫では、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の三事業部制で構成されている。その中でも地域の身近な金融機関として、小規模事業者や創業企業向けの事業資金融資などは国民生活事業が担当する。
福岡・佐賀・長崎・大分の九州北部4県に日本公庫の支店は10支店あり、それらの支店の国民生活事業を統括するのが、地区統轄(九州北部担当)の鎌倉浩二氏だ。今年4月に赴任した鎌倉氏に日本公庫のおける創業支援の取り組みをはじめ、熊本地震への対応、さらに地域貢献への取り組みを聞いた。
政策金融機関として 創業支援を積極的に推進
当公庫は全国15地区に152店舗を構える中、福岡は九州地区の〝核〞であり、九州一円に対して大きな求心力がある地域だと思います。たしかに前任地の仙台も似た特徴があったものの、福岡のような地域全体への強い影響力はなかったようでした。
福岡が九州のビジネスや商業の中心地であるのに対して、九州各地には特徴的で魅力的な観光地や温泉が数多くあります。これらの観光地・温泉へ向かう観光客の多くは、福岡を経由して移動しており、地域としてのバランスも取れているのではないでしょうか。
九州の中枢機能を担う福岡における特徴的な動きとして、活発な創業支援活動点が挙げられます。
そして、創業支援の輪は九州全体に波及して、相乗効果が生まれている状況です。成長分野でもある創業支援について、当公庫では福岡創業支援センターを中心に創業者の方々に役立つような取り組みを手掛けています。
福岡には創業支援や女性起業家の支援などの団体や行政機関、金融機関などが数多くあり、福岡創業支援センターでは、これらのネットワークを深めながら、多彩な情報発信やセミナー・イベントの開催も手掛けています。 具体的には西鉄などとの取り組みの中から誕生したのが、コワーキングスペース「天神COLOR」です。また、福岡市のスタートアップカフェでは毎週木曜日の夕方に創業相談窓口を設けて、士業の専門家とともに一元的な対応体制を整えています。
日本公庫職員が高校の教壇で 教える起業教育を実践
当公庫では、創業のステージに応じた段階的な支援に取り組んでいます。
中でもユニークなのは、「高校生ビジネス・グランプリ」です。高校生が考えたビジネスプランを選抜して毎年1月、東京で全国大会を開催しており、今年で4回目です。
この取り組みでは、当公庫の職員が各高校に出向いて、教壇に立って教えています。ビジネスプランの着眼点や立て方、原価計算、さらにプレゼンテーションの仕方などを高校生と議論しながら、一緒に進めています。今後も若年層向けの起業教育に力を入れていきたいと思います。
最近では、地元の大手企業や中小企業の間でもベンチャー企業のアイデアや技術、ビジネスモデルを取り込んで自社内でイノベーションや新規事業を起こそうという動きも出て来ており、これからの展開が楽しみです。
前任地の東北で震災復興へ ネットワーク力を生かす
前任地の仙台には2013年4月から3年間滞在し、南東北地区統轄として宮城・福島・山形の3県を担当しました。中でも宮城・福島両県は東日本大震災からの復興途上にも関わらず、マスコミなどで現状が地域外に伝わらず、このまま風化してしまうのではないかと危惧しています。
東北復興の現場では、建物や施設などのハード面の復旧はできても、取引先や仕入先などとの関係が途絶えて苦労されているケースも数多くありました。そうした中、「われわれにできることは何か」と自問した結果、支援者のネットワークづくりが大事だと気づきました。様々な支援グループの中にわれわれ公庫職員も参加して、被災者の方々の声に耳を傾けることから始めました。
たしかに個人で難しいことでもネットワークを生かして取り組むことができます。このような活動の中から被害の大きかった沿岸部への新たな起業家創出にもお手伝いできました。また、既存企業だけでなく、創業による雇用創出を目指して、地域の経済団体や自治体を巻き込んだ支援活動の輪も広がっています。
熊本地震に迅速対応、 現場主義で自ら現地に赴く
今回発生した熊本地震において、中小・零細企業や個人事業主の方々を対象とした復興〜復旧〜発展において東北復興での経験を生かしたいと思います。
熊本県内では前震の翌日・4月15日に特別相談窓口を開設して、全力で対応しています。一方、16 日の本震で大きな被害が発生した大分県内では週明けの18日に相談窓口を設けました。さらに被災地で対策説明会や特別融資や返済猶予などの相談会を開いています。
私自身としても大分県内で被害が大きかった由布市湯布院町、別府市、日田市、玖珠町、九重町などの現場を視察して、被災された方々の声を直接お聞きしました。その上で直接的な被害だけでなく震災によるキャンセルや売掛金の回収遅れ、被災地の仕入れ先・販売先との取引支障などの間接的な被害についても融資や返済などの相談や要望など一人一人に寄り添いながら、親切かつ丁寧、迅速な対応に努めています。
九州出身、 14 年ぶりの2回目の福岡勤務
私自身、九州の出身で長崎県諫早市で生まれ育ちました。今年4月に14年ぶり2回目となる福岡勤務で変わったところと変わらないところにいろいろ気づきました。
変わったところは、まず博多駅周辺の街並みです。新しい駅ビルや大規模な商業ビルやオフィスビルが立ち並び、かつてオフィス一色だった博多駅周辺地区が商業街区へと進化しました。おしゃれでハイセンスな女性も多く、博多と天神という二大都心はバランスの取れたまちづくりに貢献していると思います。
また、東北と対称的なのは外国人観光客の多さです。福岡のまちを歩いていると、アジアンパワーを実感できます。海外に新たな市場を求めている企業やグローバルに考えている経営者にとって、アジアに近い福岡は大変魅力的な存在だと思います。
以前の勤務時にもベンチャー支援の取り組みはあったものの、現在のように整っていませんでした。今日、創業のためのインフラや仕組みができ上がり、創業をサポートする面々も個性的で多彩であり、非常に充実しています。
その一方で変わらないのは、人情です。ヨソ者を受け入れる九州独特の気質ではないでしょうか。また、食文化の豊かさやおいしさも変わりません。魚料理や鶏料理、ラーメン・うどんなどの味は変わらず、醤油や味噌が甘いのも嬉しいですね。
高島市長も飛び入り参加の 移住フェアに延べ650人来場
福岡をはじめ、各自治体では地方創生に向けての「地方版総合戦略」を策定しています。今後、戦略の具体化に向けて動き出す段階において、われわれも地域の活性化に向けて積極的に貢献をしていきたいと思います。
現状、地方創生におけるカギは、「雇用づくり」「仕事づくり」であり、それらを支える創業支援ささらに力を入れていきたいと思います。これらの背景やニーズも踏まえ、当公庫では今年2月、東京で九州7県との共催で「九州移住×起業フェア」を開催しました。
当日は髙島宗一郎・福岡市長のサプライズ参加もあって大変盛り上がり、来場者は約650人にも上りました。このような都会から地方へのU・I・Jターンは各自治体にとって共通のテーマであり、今後も継続的に開催したいと考えています。
われわれ自身、「地域あっての日本政策金融公庫である」という強い思いがあるだけに今後も創業支援をはじめ、地方再生、雇用創出などに積極的に取り組んでいくことで地域社会に貢献していきたいと考えております。