Bizread|九州産業大学 経営学部 産業経営学科(聞間 理ゼミ)|インタビュー記事
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なぜ、レゴ®シリアスプレイ®を活用したワークショップは、
世界の経営者をはじめビジネスリーダーを魅了するのか
九州産業大学 経営学部 産業経営学科(聞間 理ゼミ)
教授
聞間 理 氏
DATA
住所:福岡県福岡市東区松香台2-3-1
事業:
設立:0年月日
H P:http://www.kyusan-u.ac.jp/
倒産寸前だった玩具メーカーが子ども向けプラスチック製ブロックをビジネ戦略ツールへと〝昇華〞させて世界中の経営者・ビジネスリーダーを魅了している。デンマークに本社を置くレゴ社は世界で約7500万人の顧客から支持されて、2014年上期に「バービー」人形で有名な米マテルを抜いて、〝世界最大手の玩具メーカー〞になった。そのなかで、レゴの持つ可能性を感じさせる魅力の一つとして現れてきたのが、いま話題の「レゴ®シリアスプレイ®」だ。レゴ®シリアスプレイ®の公認ファシリテーターである聞間理氏に人気の秘密や魅力を聞いた。
いま話題のレゴ®シリアス プレイ®とは何か ?!  
レゴ®シリアスプレイ®とは、レゴブロックを用いて参加者の頭の中にあるイメージを「見える化」することで共通点を見出されて、個性や考え方の違いも認識する手法です。レゴブロックの「レゴ」とは、デンマークの玩具メーカーであるレゴ社を指します。デンマーク語の「レゴット(よく遊べ)」という言葉が、社名の由来だそうです。
レゴ社は最初、積み木を手掛けた後、プラスチック製のブロックの製造を始めました。
肝心の玩具業界がテレビゲームの登場で大きく変わる中、レゴ社も生き残りをかけて、いろいろな挑戦しましたが、ことごとく失敗して倒産の危機に陥りました。この状況下、レゴブロックを子ども向け玩具としてではなく、「ビジネス戦略を策定するツールにする」という新たな発想で誕生したのがレゴ®シリアスプレイ®です。
マサチューセッツ工科大学の研究者が提唱した「人はモノを作るときに新たな知識を得る」という教育理論がベースにあり、参加者はワークの中で、次々に新たな発見をしていく楽しさもあります。
レゴ®シリアスプレイ®と は、どのように進めるのか
レゴ®シリアスプレイ®では、まず参加者にブロックで表現してほしい「お題」が投げかけられます。その後、ファシリテーターが出した課題について、各参加者が手を動かして考えながらレゴブロックでつくっていきます。そして、完成した作品について本人が自ら説明します。人間はどのような状況下でも心理的に落ち着く配置や構成をしていきます。それらの内面も踏まえてファシリテーターが作品の解釈や説明をしていくことで本人に気づきを促し、さらにいろいろな問い掛けを通じて本人の中に眠っている創造性が刺激されていきます。
このような特徴をもつレゴ®シリアスプレイ®は最近、日本で注目されています。その背景として、アメリカの企業が革新的なモノを次々と生み出していくのに対して、日本の企業が新たなモノを創出できない現状がありました。このような状況は技術力の差ではなく、発想やアイデアの合わせ方など従業員の中に眠る創造性を引き出せないところにありました。
レゴ®シリアスプレイ®では自分の思考や理解に加え、思い込みも認識できます。これらの点も踏まえ、イノベイティブで創造的な力を養うことができる点でも注目されています。
なぜ、レゴ®シリアスプレ イ®の学びが魅力的なのか
レゴ®シリアスプレイ®の効果としては、大きく二つあります。一つは言葉で表せなかった表現をレゴブロックができる点です。もう一つは手を動かして考えながらつくることで、いろいろな発見や気づきも生まれるという効果があります。
レゴは組み合わせていくだけなので、うまい・下手はありません。
表現の幅が狭い粘土や、表現技術が先行しがちな絵画と違ってレゴブロックでは、作業レベルが平準化されており、誰でもつくれる点が魅力的です。レゴブロックを用いて、われわれの中でモヤモした気持ちやイメージなどをカタチにしていく中で考えが整理され、新しい発想やアイデアも生まれます。シリアスプレイは、いわば遊びと学びを融合させた問題解決プロセスでもあり、〝新しい学びの道具〞といえるでしょう。
今秋、日本初のレゴ授業が 九産大で開講
現状、レゴ®シリアスプレイ®は新入社員や若手社員向けの研修で用いられることが多いですね。ある程度の経験や知識を身につけた若手社員は日々の業務で忙殺されがちなため、レゴ®シリアスプレイ®で自らの振り返りや自分自身の〝棚卸し〞ができます。さらに今後のキャリア構築について考える良い機会になっています。
また、職場内でのコミュニケ―ション不足や他人との考え方や意識の違いで人間関係がギスギスしてしまう場合でも、レゴ®シリアスプレイ®で互いの内面に眠る意識を明らかにして、互いの個性や違いを認め合う中で、自社の企業文化も認識・共有できます。
私自身は大学教員として、学生がチームを組んでプロジェクトを実践的に学ぶプロジェクベースドラーニングが担当です。彼らが、チームの方向性を決める場合などにレゴ®シリアスプレイ®を使っています。さらに本学では今年9月、日本初のレゴ®シリアスプレイ®の授業として「経営学特別講義2C〜自己変革の理論と実践〜」を集中講義します。組織変革を目指すU理論の《ひたすら観察》(プレゼンシング)して、《内省して内なる知(ノウイング)》に任せて、《素早く即興的に行動に移す》(クリエイティング)ための促進ツールとして、レゴ®シリアスプレイ®を活用します。
また、福岡女子大学の社会人学び直し講座でも積極的に取り入れ、リーダーシップや創造性開発に貢献しています。
レゴ®シリアスプレイ®へ の科学的な研究もスタート
現在、レゴ®シリアスプレイ®による効果測定についても研究中です。レゴ®シリアスプレイ®の授講前・受講後でのレゴブロック作品を比較していく試みです。ブロックの色合いの変化や平面構造の立体化、表現空間の拡大などのパターンがあることがわかっており、レゴ®シリアスプレイ®で個別効果も検証可能だと考えます。
また、本学が導入した脳内の血流測定装置で調べた結果、レゴブロックで考えた場合と言葉で考えた場合では、レゴブロックで考えた方が血流が大幅に多く、さらに全脳的に回っていました。言葉で考えた場合は、使う脳の部位が決まっているのに対して、レゴブロックを用いた場合は、脳のいろいろな部位を使うからです。
三次元のレゴブロックが 〝未来のビジネス〞を導く
歴史的にみて、人間は道具を通じて、自らの世界を広げてきました。道具の発展で世界認識を広げてきたともいえます。その人間の思考ツールは最初、絵や音でした。その後、文字が発明されて情報量は飛躍的に拡大しました。しかし、文字情報自体に限界があり、二次元情報なので、どうしても表現も限られています。
その点、三次元情報であるレゴブロックは色や形状、配置などぼ従来と違う情報で世界を新たに認識・理解でき、世界観や考え方を大きく広げる可能性があります。
たしかにビジネス理論は文字中心ですが、新たなビジネスへの発想や理解を図る上でレゴブロックは人間の可能性をさらに広げていくのではないでしょうか。
だからこそ、経営者をはじめ、ビジネスリーダーには、ぜひレゴ®シリアスプレイ®を体験してほしいと思います。自らの考え方を柔軟にするのは人間にとって難しいことです。経営トップとして自社の将来を考える時、もしも自分の思い込みに囚われていたら、致命傷になる可能性もあります。だからこそ、自分自身のイメージや思い、考えを可視化できるレゴ®シリアスプレイ®を積極的に取り入れて
いくべきではないでしょうか。
本来、レゴ®シリアスプレイ®は、経営トップのための経営戦略ツールとして開発されました。経営者やビジネスリーダーにとってレゴ®シリアスプレイ®は、大変有効な手法です。私自身もいままでになかったような全く新しいレゴ®シリアスプレイ®の教育プログラムの研究・開発や実験に全力で取り組んでいます。